渋谷アメデオ

SHIBUYA Amedeo

魅力的になったと言われる暮らしがしたい

 今日、ベルトをしてくるのを忘れました。

 だって、スラックスに脚を通した時点で、ベルトをせずとも全く違和感がないぐらいぴったりだったんだもの。スラックスのウエスト幅と僕のボディラインが奇跡の合致、ベルトなんて無くともずり落ちない! なんなら今日は締め付け感が少なくてちょっと快適だな動きやすいなとか思っていたぐらいだからね。トイレに行って気付いたよ、外すべきベルトがないことに。そして、スラックスを下ろそうとすると全てが滑り落ちるということに。

 14 歳ぐらいから体重に変化がないのがちょっとした自慢でした。今になって考えると、当時は同級生と比べてもぽっちゃりしていたほうだったんだろうね。その後、体重は据え置きのまま身長がすくすく伸び、外見を気にするお年頃になる頃にはむしろ少しスレンダーな青少年に成長していました。今なら分かるよ、特に努力することもなくスレンダーな人生を歩んでいたのが、きっといけなかったんだって。

 先日は、大事なプレゼンの途中で、スーツのボタンが飛びました。

 今日は服装から気合いを入れよう! と大事な時のための高くて仕立ての良いスーツを引っ張り出したら、常にあるべき形のままで勝負の日を待ってくれていたスーツとは違って僕の身体は着実に大きくなっていたようで、朝の時点でなんだか様子がおかしいぞと感じていたのはただの予感ではなく、取引先の面々が見守る前でスーツのボタンは勢いよく僕の身体から解き放たれ、フリーズする僕、逆に慌ててフォローしてくれる取引先、一瞬で遠くまで転がりゆくボタン、その日、僕の体重は今まで一度も見たこともない数字を叩き出し、本気で体重を落とすことを決意したのでした。

 アラサーも終わりが見え始め、外見的にも大人にならなければと考えている今日この頃。もっとこう、大人としての、懐の大きさっつーのかね、飛び込んだらがっつり受け止めてもらえるような大きな胸板? 後ろから追いかけたくなるような広い背中? 的なものを目指してあれやこれややっているわけですが、ご多分に漏れず、年齢に比例して着実に、ただ着実に、不要なものばかりを身につけていく大人になりつつあります。

 ある人も、このように言っていましたよね。

 「太ったんじゃなく、女性としてね、魅力的になったと言ってよ」と。

 そう、僕の身体に起こる変化は、大人として魅力的になるために必要なものばかりなんだ! と無駄に自分を肯定していくと本当に危険なので、アイドルが歌う歌詞とアラサーの情けない身体を結びつけて納得しなくても生きていけるような人間になりたいと思います。だって生きていかなくっちゃ。