渋谷アメデオ

SHIBUYA Amedeo

髪を切らなくてもいい暮らしがしたい

 その髪型をやめればモテるのに、と言われ続けた人生だった。
 髪を青くしたり、モヒカンにしたり、金髪でマッシュルームにしたり、大五郎カットにしたり、ブロンドで長髪にして通りすがる人に「あの人ゴールデンレトリバーみたい」と言われたり……到底サラリーマンとして許されざる髪型にしては家族・友人・同僚から窘められる日々。同窓会に参加すれば「あいつ定職についてないらしいぜ」と聞こえる声で噂される。ふとした瞬間に僕自身もなんでこんな髪型をしているんだろうと自問自動しつつも、それでも「普通」の髪型はできなかった。
 そもそも成人男性の「普通」の髪型ってなんなの。一時期インターネットでは所謂「ゆるふわ」の女子たちをネタにしていたけれど、大体ね、男だってそういうところあるからね! みんな揃ってツーブロックにしちゃってさ、ツーブロックにしておけばカッコイイと思ってるんでしょう。この前、友達と飲んでる時に隣のテーブルにいた若リーマン、全員ツーブロックで前髪上げてジェルでパッキパキにしてたからね。その状況に居心地の悪さはないわけ? すっげーなその精神力! つえーわ! まあ、僕もツーブロックにするけども(だけど刈り上げの位置が高すぎて現在は河童みたいな頭になっている、スマートな河童)

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外国人の髪質じゃないとツーブロックは難しい

 先日読んだ本の中に「人生を変えたければ髪をなんとかしろ」みたいなことが書かれていた。活発な髪型にすれば活発な人と知り合えて自分の人生も活発になるし、おしとやかな髪型にすればおとしやかな人たちと知り合えて自分の人生もおとしやかで素敵な人たちのそれに近づいていくよ、ということらしい。
 なるほどね、なんか分かった気がする。
 僕が普通の髪型をしないのは、普通になりたくないからではなく、普通になれないからだ。普通の成人男性と同じ事ができないから、普通の成人男性と同じ髪型ができない。だって、普通の髪型をしたら、普通の成人男性が集まってきてしまって、普通の成人男性と同じ事を求められてしまうかもしれない。そんなのは困る。